難易度 | 作業時間 | 予算 |
---|---|---|
初級 | 10分〜 | 1000円〜 |
エンジンにとって重要なスパークプラグ。適切な交換時期はご存知ですか?
この記事ではプラグの交換方法を始め、必要な道具や注意点、役割や種類までプラグの全てを徹底解説。
-
主に以下のことを解説しています。
- プラグの役割や種類について
- 適切な交換目安
- プラグや工具の選び方
- 交換の作業手順
・プラグの交換方法・必要な道具を知りたい方
・プラグの役割や種類を知りたい方
・適切な交換時期を知りたい方
プラグの役割や種類を知ろう
プラグの役割
エンジンは空気とガソリンを混ぜた混合気を「燃焼・爆発」させることで動力を生み出しています。
しかし混合気だけで燃焼することはのは難しく、他者の助けを借りて着火させてあげる必要があります。この着火の作業を担っているのがスパークプラグです。
つまり「スパークプラグが正常に動作しないと、エンジンも動作しなくなる」ため、とても重要な部品と言えます。
プラグの種類
プラグには、性能が異なる様々なモノがありますが、ここでは以下の代表的な3種類のプラグを紹介します。
- 一般プラグ
- イリジウムプラグ
- Moto DX
一般プラグ
一般的に使用されているプラグで、8割ほどの車両が純正で採用されています。
1本400〜800円と安価なうえ、最低限必要な品質・性能はあるため問題なく使用できます。
イリジウムプラグ
始動性・加速性能・燃費の向上に期待ができるプラグです。要求電圧も低く、バッテリーやイグニッションコイルなどの電装系の負担軽減にも効果が見込めます。
一般プラグに比べ電極部(先端の火花が飛ぶところ)が極端に細く作られているのが特徴。
この電極部のおかげで、火花を飛ばすときのバラツキがなくなり”点火効率”が良くなり、先の性能アップが見込めるという仕組みです。
1本1000〜2000円と一般プラグよりも高価であり、寿命も変わらないのが欠点としてあげられます。しかしインジェクション車など相性の良い車両では、価格以上の効果を見せてくれることもあります。
注意点として、一般プラグの完全な上位互換ではありません。多気筒の旧車とは相性が悪いことが多く、かえって性能低下を招く可能性もあります。(筆者のバイクは相性が悪く、低速域でかぶりやすくなります。)
Moto DX
2019年に新登場した”2輪専用”のスパークプラグ。
加速性・耐久性・耐汚損性・燃費・始動性など様々な性能向上が期待できます。
イリジウムプラグよりも更に点火効率が向上し、くすぶり・かぶりの症状にも強いのが特徴です。
1本あたり2500円と更に高価になりましたが、その分「寿命が2倍」と大きく向上しています。
イリジウムプラグを購入するのであれば、Moto DXへのランクアップをオススメいたします。
交換の目安はどれくらいがベスト?
交換の目安
- 一般・イリジウムプラグ
3000〜5000km
- Moto DXプラグ
8000〜10000km
一般的な交換サイクルの目安となります。
また下記の「交換しないとどうなる?」の項目で当てはまるものがあったり、アイドリングが安定しない、エンジンの始動が困難な場合は交換したほうがいいでしょう。
正直な話、一般プラグでも10000kmくらいは問題なく使用できることが多いです。しかし、プラグの持つ役割はエンジンにおいてとても重要です。
私は一般プラグでも良いので定期的な交換をオススメいたします。
交換しないとどうなる?
4輪車に比べオートバイのプラグは、とても過酷な環境で使用されています。そのためプラグにかかる負荷も大きく消耗も早いです。
交換を怠たると様々なエンジントラブルを引き起こしてしまいます。ここでは下記の代表的な例をご紹介いたします。
電極消耗
電極部の角がなくなり、丸みを帯びた状態。
火花が飛びにくくなり点火効率が悪化します。始動困難や失火などの走行トラブルを引き起こします。
くすぶり
発火部にカーボン(スス)が付着している状態。
付着し蓄積されたカーボンがリークを引き起こし、失火を招き吹け上がりが悪くなるなどの症状を引き起こします。
異常燃焼
ブローバイガスなどによるデポジット(燃えカス)が付着している状態。
デポジットが加熱されることにより異常燃焼が発生し、電極が溶けてしまったりすることがあります。
プラグの選び方と必要な道具
プラグの選び方
メーカー指定のものを使用しましょう。一般プラグ→イリジウムなどの性能アップは可能です。(性能ダウンは不可)
必要な本数は気筒数に比例します。(例:4気筒なら4本)
指定プラグの調べ方は、取り扱い説明書や下記サイトから調べてください。
オススメのプラグ
イリジウムプラグ以上の性能を持ちながら、寿命が2倍!
始動性の向上や燃費の改善などが見込める2輪車専用設計のMoto DXプラグ
特に初期投資がしやすい単気筒のバイクにオススメです!
プラグレンチ
主にバイク用のプラグは下記の3つに分類され、それぞれ使用するプラグレンチのサイズが決まっています。
Bプラグ | Cプラグ | Dプラグ |
---|---|---|
20.8mm(21mm) | 16mm | 18mm |
見分ける方法はとても簡単、「プラグの品番の頭文字」で判別ができます。
例えば、品番がCR7HSAであれば、頭文字のCに分類されるため16mmを選びましょう。
稀に上記以外の14mmを使用する場合もありますので、不安な場合は下記のサイトから適合を確認してみてください。
マグネット付きであればプラグの交換がよりスムーズになりオススメです。
オススメのプラグレンチ
プラグレンチには「単体で使用できるタイプ」と、ラチェットレンチなどと組み合わせて使用する「ソケットタイプ」があります。
オススメするのは「ソケットタイプ」です。
まずトルクレンチがこのタイプでなければ使用できません。(トルクレンチは下記で解説しています)
そして汎用性が高いのが大きな利点です。ラチェットレンチなどがないと使用できませんが、エクステンションバーを併用したりすると様々な車体に対応できます。むしろ、これじゃないと取れないバイクもあったりします。(4気筒のバイクに多い)
今後車両を変えても使用したい、工具を揃えていきたいと思っているならばソケットタイプがオススメです。
とりあえず今の車両だけ使えれば良いという場合は、単体で使用できるタイプでも問題ありません。
トルクレンチ
下記の「締めつけの強さに気をつけよう」にて詳しく解説しますが、プラグの取り付けには注意を払う必要があります。
締めつけトルクが過剰でも不足でも、エンジンに不具合が生じる可能性があります。
適切な力で取り付けを行うためにもトルクレンチの使用をオススメいたしますが、持っていなくも大丈夫なように解説させていただいてます。
エアダスター
プラグを外す際に、周辺のゴミを吹き飛ばす目的で使用します。これを怠るとエンジン内部へゴミが侵入し、エンジントラブルを引き起こす可能性があります。
交換方法の紹介
- プラグの場所を確認(外装部品の取り外し)
- プラグキャップを外す
- プラグを交換する
プラグ交換の注意事項
【注意】必ず目を通してください。
交換作業には、気をつけるポイントがあります。詳しく解説いたしますので、必ず確認してください。
締めつけの強さに気をつけよう
プラグを車両に取り付ける際の「締めつけトルク」に気をつけましょう。
締めつけトルクは過剰でも不足でも、プラグやエンジンに不具合を生じる恐れがあります。
そして可能な限り、工具を使用せず手で締めていくようにしましょう。手では回らないところまで締付けたら、仕上げに工具で本締めをします。
このとき「トルクレンチ」を使用することで、適正なトルクで締め付けることができるのでオススメです。
また焼付防止剤などの塗布は、締付トルクを狂わせる恐れがありますので使用しないようにしましょう。
プラグの場所を探そう
まずはプラグへのアクセス方法を探るため、取り付けられている場所を確認します。こうすることで脱着が必要な外装部品が見えてきます。
プラグの多くはエンジンの一番上側にある「シリンダーヘッドの真上か側面」に取り付けられています。また、むき出しの状態ではなく”プラグキャップが上にかぶさっている”ことも覚えておきましょう。
エンジンの真上にある車両
2気筒以上のネイキッド、フルカウルなどに多く、プラグがタンクの真下にあるため外さないと交換ができません。(外さなくても交換可能な車両もあります)
エンジンの側面にある車両
主に単気筒、アメリカンなどのV型エンジンなど、何も外さずに交換できる車両が多いです。
プラグキャップを外す
【注意点】キャップの外し方に気をつけましょう
コード部分を引っ張らないように、必ずキャップを持って外しましょう。
プラグキャップからコードが抜ける場合があります。
そして多気筒バイクの場合は、外したプラグキャップがどこのホールなのか分かるようにしましょう。オススメの方法は、プラグコードにナンバリングすることです。(左を1とし順番に番号をつけていく)
プラグを外す
いきなりプラグを外す前に、取り付けられている穴「プラグホール」のゴミをエアダスターで吹き飛ばします。
これはエンジン内部へ異物が混入するのを防ぐために行います。
取り外しには「プラグレンチ」を使用します。
しかし車両によっては、プラグホールがフレームの真下にあったりします。そうなるとソケット型のプラグレンチ+エクステンションバーを使用しないと取れないこともあります。
清掃をする場合
交換ではなく清掃をする場合にご覧ください。
プラグを確認したらそれほど劣化していなかった、かぶってしまったので一度キレイにしたいときは清掃をしてから組み直しするといいでしょう。
プラグを清掃する上で最も気をつけていただきたいのが「電極部分を傷つけないこと」
具体的には、ワイヤーブラシでこすったり、研磨したりしないことです。
清掃する際はパーツクリーナー等を吹き付けてから、ナイロン製のブラシ等で汚れを落としてあげましょう。
そしてプラグの再利用時は、締付けトルクも変わってくるため必ず確認しましょう。
>締付けトルクを確認する(外部リンク)
新しいプラグを取り付ける
【注意点】締付けトルクの項目を必ず確認すること
外したプラグと新しくつけるプラグが同一である(互換性がある)ことを確認し取り付けます。
”工具を使用するのは一番最後の本締めのみ”。組み込み違いを防ぐためにも可能な限り手で締めていきます。適正トルクは厳守し、わからない場合は確認しましょう。
適正トルクの調べ方
適正トルクはプラグの種類によって異なります。下記を参考に適正トルクを確認しましょう。
また、バイクの取り扱い説明書にも記載がありますので、所持している場合は確認してみてください。
トルクレンチを持っている場合
プラグのネジ径を計測し、下記の表から適正トルクを確認しましょう。
プラグのネジ径 | 締付トルク |
---|---|
φ18mm | 3.5~4.0kg(35~40Nm) |
φ14mm | 2.5~3.0kg(25~30Nm) |
φ12mm | 1.5~2.0kg(15~20Nm) |
φ10mm | 1.0~1.2kg(10~12Nm) |
φ8mm | 0.8~1.0kg(8~10Nm) |
トルクレンチを持っていない場合
締付回転角を基準に締めつけを行います。
大手プラグメーカーのNGKさんのHPを参考にするといいでしょう。(下記のリンクから確認できます)
プラグキャップは奥までしっかり差し込もう
プラグキャップの差し込みが甘いと接触不良により、プラグの点火が不安定になります。真っ直ぐと奥まで差し込めているか確認しましょう。
最終確認
- 部品のつけ忘れはありませんか
- エンジンは始動、アイドリングしますか
- 金属同士があたるような異音はしませんか
- プラグキャップは奥まで差し込めていますか
- ガソリン漏れはありませんか(タンクを外した場合)
重要部品だからこそ定期的に交換しよう!
今回はプラグ交換の方法を始め、必要な道具や注意点、プラグの役割をご紹介させていただきました。
実は交換サイクルがエンジンオイルと同じなんですよね。しかし実際のところオイル交換の2〜3倍は交換されていないイメージです。
軽視されがちですが、エンジンの動作には必要不可欠な部品なうえ、エンジントラブルにも直結しやすいので定期的な交換を心がけたいですね。
10000キロ毎に交換するイリジウムよりも、5000キロに毎に交換する一般プラグのほうがエンジンには最適です。
注意点をしっかりと押さえ、是非交換してみてください!
感想・質問などはTwitter(@kyosuke400)にて受け付けておりますので気楽に連絡ください♪
今回使用した商品
トネ(TONE) プレセット形トルクレンチ(ダイレクトセット・ホールドタイプ) T3MN50H 差込角9.5mm(3/8") ブラック 50N・m