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【徹底解説】フロントフォークのオーバーホール。費用や作業手順、必要な道具は?

難易度 作業時間 予算
上級 120分〜 10000円〜

「フロントフォークからオイルが漏れている」
突然のできごとで驚かれた方も、この記事を見ればもう安心です。

この記事では、フロントフォークのオイル漏れの対処法、そのメカニズムを解説しています。
フロントフォークのオーバーホールについても、手順ごとに紹介していますので是非確認してみてください。

こんな方にオススメの記事

・フロントフォークのオーバーホールをしたい

・フロントフォークがオイル漏れしている

・どのくらいの費用がかかるのか知りたい

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目次

フロントフォークの基礎知識

フロントフォークの構造

フロントフォークの構造

フロントフォークは、オイルによる油圧とスプリングによるバネの力で、路面からの衝撃を吸収する役割があります。
劣化してしまうと走行性能の低下や乗り心地を悪くしてしまいます。

正立と倒立

フォーク種類

フロントフォークには、「正立」と「倒立」の2種類あります。
正立フォークは、オーソドックスなスタイルであり排気量問わず多くの車両で使用されています。
対する倒立フォークは、運動性能が高くレーサーマシンに多く採用されています。近年では250ccクラスでも採用され数を増やしています。

なぜ、オイル漏れするの?

オイルシールの劣化が原因

フロントフォークには「フォークオイル」が使用されており、激しく上下してもオイルが漏れないように「オイルシール」というゴムの部品で密閉されています。
ですが、ゴムの部品は経年劣化により”ひび割れ”が発生したり、縮んだりしてしまいます。その結果オイルを密閉しきれず外に漏れてします。

放っておいたらどうなるか

放置しておくと

オイル漏れは放っておいても良いのでしょうか。
フロントフォークにはブレーキ関係の部品やタイヤが付いています。漏れたオイルはフォークを伝い、ディスクブレーキやタイヤに付着してしまい非常に危険です。

オイル漏れが発生したり、劣化が確認できたときは早急に対処をしましょう。

点検・オーバーホールの目安

  • オーバーホール 40000km
  • 点検 10000km
オーバーホール 点検
40000km 10000km

上記の数字はあくまで目安であり、走行状況や放置期間などによって大きく前後します。
オイル漏れが発生したり、ひび割れが確認できたときは早急に対応しましょう。

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オーバーホールの費用について

部品代 ¥11,924
フォークオイル ¥1,870
工賃 ¥15,950
総額 ¥29,744
[モデル:SR400(2001年モデル ディスクブレーキ車 正立フォーク)]

オーバーホールに必要な部品は車両によって大きく変わります。気になる方は、一度見積もりを取ってみましょう。
より複雑な構造の倒立フォークの方が工賃が高い傾向にあります。

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作業環境について

バイク用スタンドは持っているか?

Fフォークを外すには、Fタイヤを外す必要があります。
そのため車体を浮かせることが可能な「メンテナンススタンド」が必要となります。

注意点

Fを浮かせるには、Rを浮かせないと車体が安定せず危険です。なのでFとR用で計2つ必要になります。

▼私が使用しているメンテナンススタンド

電動(エアー)工具が必要

今回の作業は”人力での脱着が難しいボルト”があり、電動(エアー)工具の「インパクトレンチ(ドライバー)」が必要です。
マンリキなどでフォークを固定すれば人力でも不可能ではありませんが、車両ごとの個体差が激しいため最初から用意できることが望ましいです。

▼私が使用したインパクトドライバー

フォークオイルのデータを調べておこう

Fフォークに使用するフォークオイルは、「オイルの種類」「オイルの量」「油面の高さ」が車両ごとに定められています。
ネット調べてすぐにわかるものではありませんので、販売店などに問い合わせし事前に調べておくことをオススメいたします。

▼今回作業する「SR400(2001年式)」のデータは下記の通りです。

油種 G10
油量 176cm3
油面 199cm
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必要な道具

フォーク部品

必要部品

上記の”“がついている部品は”交換必須かつ最低限の部品“です。車両ごとに使用部品が異なりますので、不安な方は販売店に確認しましょう。

ダストシール

キジマ(Kijima) ダストシール SR400/500 ブラック 2個入り 206-260

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SR400の純正はジャバラ状ですが、今回はキジマの通常形状のタイプにしました。好みで選んでいただいて問題ありません。

オイルシール

今回はAriete(アリート)製のオイルシール(商品ページ(外部リンク))を使用します。純正よりも性能が高く、値段が安いのが特徴です。
また使用する上での注意点がございますので、SRユーザーの方は必ず確認してください。(注意点を確認する

適合を調べる(外部リンク)

他部品

他部品は全て「純正部品」で揃えました。

フォークオイル

ヤマハ純正フォークオイル G10 1L
フォークオイルデータに記載されているのは片側のみなので、左右分(×2)用意しましょう。

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特殊工具

シールインサーター

オイルシールやスライドメタルを打ち込むために必要です。

油面ゲージ

フォークオイルを規定量入れるために必要です。

インパクトドライバー

フロントフォーク最下部の「ダンパーロッドボルト」を緩めるために必要です。フォークを万力等に固定して外すことも可能です。

ケミカル系

パーツクリーナー

フロントフォークの清掃に必要です。結構な量を使いますので複数本用意しましょう。(今回は3本使っています)

リチウム/シリコーングリース

どちらも2gあれば十分なので、セットになっているもので問題ありません。

#800ヤスリ

サビ落としに必要です。サビをそのままにするとオイル漏れを早めてしまいます。

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作業手順(取り外し~分解まで)

Fフォークを外す

Fフォークを外すにはFタイヤを外し、フォークにクランプ固定されている部品も外す必要があります。以下の2つを行ってから作業に取り掛かりましょう。

突き出し量を調べておく

突き出し量を確認

フォークを外す前に「トップブリッジから突き出している量」を確認します。
※突き出し量が変わると「車体のホイールベース」が変わります。

トップキャップを緩めておく

トップキャップを緩めておく

[SR400 トップキャップ:ヘキサゴン 17mm]

フロントフォークを外す前にトップキャップは緩めておきます。また傷がつきやすく、目立つ位置なので養生をするといいでしょう。

トップキャップを外し、オイルを抜く

フォークオイルを抜く

フロントフォークを外したら、トップキャップを外しフォークオイルを抜きましょう。

フォークスプリングに向きを確認しておく

スプリングの向きを確認

オイルを抜くとき一緒にフロントフォークスプリングが出てきます。スプリングには”向き”がありますので、確認しておきましょう。

ダンパーロッドボルトを緩める

ダンパーロッドボルトを緩める

[SR400 ダンパーロッドボルト:ヘキサゴン 8mm]

次に最下部のダンパーロッドボルトを緩めます。
フロントフォークを逆さまにしインパクドライバーでボルトを外します。マンリキなどでフォークが固定できるのであれば手動でも可能です。

ダンパーロッドを抜く

ダンパーロッドボルトを外せたら、中からダンパーロッドを取り出しましょう。

空転してしまう場合ボルトが空転してしまい外すことができない場合は、「中にフォークスプリングを入れて、トップキャップを閉める」ことで外しやすくなります。

ダストシールを外す

ダストシールを外す

ダストシールは挟まっているだけなので、傷がつきにくい「内装剥がし」を使用しましょう。

内側でやる

マイナスドライバーなどを使用する場合は、傷が目立たない”フォークの内側“で使うといいでしょう。(傷が入ると思った方がいい)

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クリップを外す

リングを外す

クリップも挟まっているだけですので、マイナスドライバーなどで取り外します。

オイルシールと他部品を外す

インナーチューブを抜く

ここまで来ればインナーチューブを抜くことができます。一緒に「オイルシール」と「スライドメタル2種類」が抜けるはずです。

スピンドルの紛失に注意

スピンドル紛失に注意

インナーチューブの最下部に「スピンドル(白い樹脂製の部品)」が挟まっています。これがインナーチューブを外す際に紛失したり、アウターチューブ側に残ったりしますので気をつけましょう。

スライドメタルを外す

スライドメタルを外す

インナーチューブ側のスライドメタルを外します。マイナスドライバーなどで、傷をつけないように気をつけながら外しましょう。

各部品の清掃

バラした部品を洗浄

アウターチューブなどの”再利用する部品“をパーツクリーナーで清掃します。

アウター/インナーチューブのヤスリがけ

やすりがけを行う

インナーチューブの外側、アウターチューブの内側をペーパー(#800)でやすりがけします。

横方向にかける

POINT!やすりがけは横方向に行いましょう。(縦方向に行うと「オイル漏れ」の原因になることがあります)
また、やすりがけが甘いと新しい部品を傷つけたり、圧入する際に支障がでることがあります。手で触って凸がなくなるまで行いましょう。
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作業手順(組み立て~取り付け)

スライドメタルの取り付け

スライドメタルを取り付ける
インナーチューブにスライドメタルを取り付けします。

インナーチューブをアウターチューブに差し込む

スピンドル紛失に注意

インナーチューブの最下部にスピンドルを取り付け、落下に注意しながらアウターチューブに入れます。

スライドメタルの打ち込み

スライドメタルを打ち込む

シールインサーターを使用し「スライドメタル」を打ち込みます。面一になるくらいが目安です。

POINT!シールインサーターを使用する時は、新品の部品に傷を付けないために「古いワッシャー」を間に挟みましょう。

ワッシャーを入れる

ワッシャーを入れる

新品のワッシャーを入れましょう。バリ取りがされている方が上ですので気をつけましょう。

【注意】SR400 Ariete(アリート)製のオイルシールを使う方
アリート注意点SR400でAriete(アリート)製のオイルシールを使用する方に向けた注意喚起です。

上記の条件の場合、この工程の「ワッシャー」は使用しません。
SR400には、ワッシャーを”使用していない“フォーク(ドラムブレーキ)と、ワッシャーを”使用している“フォーク(ディスクブレーキ)が存在します。

Ariete(アリート)製のオイルシールは、上記2種類に対応できるように、前者のフォークを基準に作られています。
そのため、ワッシャーを入れてしまうと物理的に高さが合いません。

全年式を調べたわけではありませんが、私の2001年式では不都合が出ましたので確認してみてください。

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オイルシールの打ち込み

オイルシールを打ち込む

オイルシールが斜めに入らぬように水平を保ちながら、シールインサーターを使用し打ち込みます。斜めに入ってしまった場合は、無理せずやり直しましょう。(インナーチューブを抜けばやり直しできます)

シリコングリスを塗る

POINT!オイルシールを入れる際は、インナーチューブの先端(上)を養生し傷付き防止を行いましょう。また、オイルシールには「シリコングリス」を薄く塗り滑りをよくしましょう。

クリップの取り付け


新品のクリップを取り付けます。しっかりと溝に収まっていることを確認しましょう。

ダストシールの取り付け

ダストシールを取り付ける

オイルシール同様、インナーチューブに養生をし、シリコングリスを塗り入れます。手の力で十分に入りますので、シールインサーターは使用しなくても大丈夫です。

ダンパーロッドを入れて固定する

ダンパーロッドを入れる

スプリングの落下に注意しながらダンパーロッドを入れます。

ダンパーロッドボルト本締め

[SR400 ダンパーロッドボルト:ヘキサゴン 8mm 締付トルク:2.8kg]

ダンパーロッドボルトで固定します。ワッシャーは必ず新品を使用しましょう。
※空転してしまう場合は上記手順を試してみましょう。

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フォークオイルを入れる

フォークオイルを入れる

フォークオイルデータを参照し、フォークオイルを規定量入れましょう。オイルを入れる時は泡立たないように、フォークを斜めにし壁を伝わらせましょう。

油面を合わせる

油面を合わせる

フォークオイルデータを参照し、フォークオイルの油面の高さを調整しましょう。
「油面ゲージ」を使用し、フォーク内には”何も入れず、フルボトムさせた状態“で測定します。

油面調整が終わったら、しばらく放置しエア抜きを行います。

フォークスプリングを入れる

スプリングを入れる

フォークスプリングの”向き“に気をつけて、泡立たせないようにゆっくりといれます。

トップキャップを取り付ける

トップキャップをつける

[SR400 トップキャップ:ヘキサゴン17mm 締付トルク:2.3kg]

トップキャップを取り付けます。フォーク単体では本締めが困難な場合は、車体に取り付けてからでも問題ありません。

車体に取り付ける

グリスアップ
外した時と逆の手順でフォークを取り付けます。共締めする部品は「リチウムグリス」を薄く塗りましょう。

向きを揃える

視界に入りやすいトップキャップは”頭の向き“を揃えることで見栄えが良くなります。

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さいごに

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今回はフロントフォークのオイル漏れの対処法を紹介しました。
オイル漏れが確認できた場合、早急に販売店に相談してみましょう。

オーバーホールの作業は専門知識と整備スキルが要求されますので、ご自身でされる場合は慎重に作業していきましょう。
また、動画でも作業風景をご紹介する予定ですので、是非チャンネル登録してお待ちください。

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