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スクーター駆動系の交換方法を徹底解説。ベルトの適切な交換時期、費用は?

難易度 作業時間 予算
中級 40分〜 7000円〜

スクーターは決してメンテナンスフリーではありません。
特に走行の要の「駆動系(ドライブベルト・ウエイトローラーなど)」は、定期的な点検・交換をすることで寿命は大きく向上します。

この記事では、駆動系の交換方法・交換時期の目安・点検の方法・必要な道具まで全てを徹底解説。
駆動系交換をマスターし、安心して走行できる状態を保ちましょう。

    主に以下のことを解説しています。

  • 駆動系部品の役割
  • 交換時期の目安
  • 交換に必要な工具・費用
  • 各種清掃・グリスアップの方法
  • 交換作業のご紹介
こんな方にオススメの記事

・ドライブベルトなどの交換方法が知りたい方

・各種部品の役割、交換の目安を知りたい方

・必要な工具、グリスを知りたい方

・交換に必要な費用を知りたい方

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目次

交換の目安・役割について【部品別】

交換目安一覧

部品名称 交換目安
ドライブベルト 8000km~
同時交換推奨
ウエイトローラー
スライドピース
クラッチシュー 30000km
Vベルトフィルター 10000km
プーリー 30000km

消耗具合はバラさないとわからない

クランクケースカバー_外し

駆動系の部品はクランクケースの中に収まっており、消耗具合はバラして確認する他ありません。

しかし毎回バラして確認するのは手間がかかりますので、簡潔に確認する方法をご紹介します。

上記の表で分かる通り、ベルト、ローラー、スライドピースの3点は同時交換がオススメです。そこで”交換の基準をドライブベルトにする”ことで、クランクケースカバーの脱着のみで交換時期を判断することが可能です。

クランクケースカバーを取り外しベルトの状態を確認。磨耗しているようなら、3点とも同時に交換するいった感じです。

また磨耗具合に関係なく、定期的な走行距離で交換するもの効果的です。

走りに変化がでたら劣化を疑おう

駆動系部品の劣化は、走行に直接影響が出てきます。少し難易度はあがりますが、走りに変化が現れたら交換する方法もあります。

主な症状は以下の通りです。

症状 対象部品
最高速が落ちた ドライブベルトの劣化
加速が悪くなった
変則の仕方がおかしくなった
ウエイトローラーの劣化
(より回さないと)走り出さなくなった
回転数だけあがりタイヤが回転しない
クラッチシューの劣化
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ドライブベルトの交換目安・役割

ベルト_ヘッダー

  • 役割:エンジンの動力をRタイヤへ伝達する(チェーンの役割)
  • 交換目安:8000km〜
  • 点検方法:こちらを参照

自転車やバイクでいうチェーンの役割を担っています。
ベルト切れるとエンジンをどんなに回そうがタイヤは一切回転しません。

交換の目安は8000km〜となっていますが、乗り方やカスタム度合いにより大きく異なります。
劣化してくると最高速が落ち、走行中に切れる可能性があります。走行中に切れてしまうと他部品に大きな損傷をもたらすため、定期的な点検・交換が推奨されます。

ウエイトローラーの交換目安・役割

ローラー_ヘッダー

  • 役割:変速タイミングの設定
  • 交換目安:8000km〜
  • 点検方法:こちらを参照

低速から高速まで、どの回転数で変則を行うかの設定を行っています。
ローラー自体の重さにより変則タイミングが変わり、軽くすると加速よりに、重くすると高回転よりへ変化させることができます。
しかし、あくまでセッティングパーツになりますので、ノーマルの状態でむやみに重さを変えても悪影響になるケースが多いので気をつけましょう。

交換はドライブベルトと同じタイミングで行うことが基本です。
劣化してくると、変則のタイミングが狂ったり、最高速が落ちたりします。

スライドピースの交換目安・役割

スライドピース_ヘッダー

  • 役割:プーリを保護する
  • 交換目安:8000km〜
  • 点検方法:こちらを参照

プーリーはランププレートと呼ばれる部品と共に回転しています。
プーリーはアルミ素材でできているため、鉄でできているランププレートに削られてしまいます。それを保護する役割を担っています。

交換はドライブベルトと同じタイミングで行うことが基本でです。
劣化するとプーリーが削れ、部品の破損へつながります。

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クラッチシューの交換目安・役割

クラッチシュー_ヘッダー

  • 役割:ベルトからの回転運動をRタイヤへ繋げる
  • 交換目安:30000km〜
  • 点検方法:こちらを参照

ベルトが回転し、クラッチシューが遠心力により動作することでRタイヤは回転します。

クラッチシューが劣化すると、タイヤを動かすための力がなくなり空転しやすくなってしまいます。今までよりもエンジンを回さないと走り出さなくなったら劣化のサインかもしれません。
交換サイクルは30000kmが目安となります。ベルト交換の度に磨耗具合を確認すると良いでしょう。

Vベルトフィルターの交換目安・役割

ベルトエレメント_ヘッダー

  • 役割:クランクケース内へのゴミの混入を防ぐ
  • 交換目安:8000km〜
  • 点検方法:こちらを参照

クランクケースは内部が高温に晒されないように、外気を取り入れ冷却を行っています。外気に含まれたゴミなどを内部へ侵入させないように使用されています。

交換の目安は10000km毎です。他にも破れていたり、ポロポロと崩れ落ちてしまうようなら交換した方がいいでしょう。

プーリーの交換目安・役割

プーリー_ヘッダー

  • 役割:ギア比の設定
  • 交換目安:30000km〜
  • 点検方法:こちらを参照

ウエイトローラーが収まっている部品です。ベルトやローラーの可動域を広く持ってあげることで最高速を増やすことができます。(ハイスピードプーリー)

交換の目安は30000kmほどですが、段つきの摩耗が見れたり、傷が目立つ場合は交換しましょう。そうでない場合は、無理に交換しなくても大丈夫です。

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交換にかかる費用はどれくらい?【排気量別】

駆動系価格表

排気量が大きくなるにつれ部品代は高くなる傾向にあります。
またフォルツァなど、ウエイトローラーが使用されていない車両も一部存在します。

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交換には特殊工具が必要

特殊工具が必要

駆動系をバラすには特殊工具が必要不可欠です。

特殊工具は主に3種類。プーリー、クラッチ脱着工具の他に、クラッチシュー分解工具(交換する場合は必要)です。

特殊工具の選び方

DAYTONAさんより、特殊工具と適合がでていますのでそれを参考にします。下記の適合表を元に選択しましょう。

特殊工具_適合表

「プーリー・クラッチ」を外すための工具

デイトナ バイク用 シザーズホルダー 36469

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デイトナ バイク用 プーリーホルダー HONDA用 31832

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デイトナ バンドホルダー 41764

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「クラッチシュー」を分解するための工具

デイトナ クラッチナットレンチ 41mm/34mm93597

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清掃・グリスアップに必要なもの

よく使う清掃用具でOK

パーツクリーナー

KURE パーツクリーナー 金属パーツ洗浄剤 840ml 1422

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駆動系部品はかなり汚れていますので、清掃をするために必須です。

真鍮ブラシ

SUN UP ハンディーブラシ 先曲り 真鍮

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クラッチシューやハウジング(クラッチシューの外側の部品)の清掃に使用します。

グリスアップは必ず行おう

リチウムグリス

ヤマハ(YAMAHA) グリース G 150g 90793-40016

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ウエイトローラーと可動部の潤滑に使用します。

筆者はヤマハ純正のローラー用「グリースG」を愛用しています。万能グリスでも問題ありません。

ポリウレア系グリス

ヤマハ(YAMAHA) グリース E 150g 90793-40014

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1,548円(12/02 09:36時点)
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クラッチシュー内部の潤滑に使用します。

筆者はヤマハ純正の専用「グリースE(クラッチセカンダリーシー部用)」を愛用しています。他でも代用可能です。

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交換方法

  1. クランクケースカバーを外す
  2. プーリーを外す
  3. クラッチシューを外す
  4. 各部品を点検・グリスアップする
  5. 各部品を交換する
  6. 規定トルクで締めつけをする

合いマークを付けておこう

合いマークを付けておこう

プーリー、クラッチなどの各種ナットを緩めるまえに「合いマーク」をつけておくことで、締めつけトルクを覚えておくことができます。
※トルクレンチを持っていれば不要です。

クランクケースカバーを外す

①クランクケースカバーのカバーを外す

②クランクケースカバーのカバーを外す

駆動系の部品たちは、車体後方の左側にあるクランクケース内に収まっています。
固定されているボルト(矢印)を緩めてクランクケースカバーを外します。

外れない時はプラハンで叩いてみよう

※外れない時はプラハンで

ボルトを外してもクランクケースカバーが外れない時は、全体を軽くプラスチックハンマーで叩いてみましょう。打撃を与えることで固着が解消され外れやすくなります。

トネ(TONE) コンビネーションハンマー HPBHC-10 ブラック 1lb

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ガスケットが劣化していたら交換しよう

※ガスケットが破れていたら

クランクケースカバーにはガスケット(材質は様々)が使用されています。切れていたりしたら新品のモノへ交換しましょう。

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プーリー側を外す

プーリーを外していく

①プーリーナットを外す

※特殊工具が回転しないように

特殊工具プーリー固定レンチを使用し、プーリー中心のナットを緩めます。

外した部品の順番は

また、外した部品の順番を覚えておきましょう。特にスペーサーシム(薄いワッシャー)には気をつけてください。

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クラッチ側を外す

クラッチを外していく

クラッチナットを外す

※特殊工具が回転しないように2

特殊工具プーリーホルダーを使用し、クラッチ中心のナットを緩めます。

ハウジングから外す

クラッチハウジングを外し、クラッチシューとベルトを取り外しましょう。

クラッチシューの分解方法

クラッチシューを分解する場合はご覧ください。ベルト交換では不要の作業です。

クラッチシューを分解する

①シューナットを外す

②地面に叩きつける

特殊工具クラッチナットレンチを、クラッチシュー中心のナットへひっかけます。
その後レンチが外れないように持ちながら、段差などに打ち付けナットを緩めます。

外した道具の飛び出しに注意

※足で押さえつけながら

ある程度緩んだら、足などでクラッチシューを押さえつけながらナットを外していきます。
内側にはセンタースプリングが入っており、ナットが外れるとクラッチシューが飛び出してきます。

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各種点検・グリスアップ方法

各部品の点検の方法、グリスアップのやり方を紹介しています。
使用限度値はグランドアクシスの参考値になりますのでお気をつけ下さい。

ドライブベルトの点検方法

ベルト点検

  • 使用限度:16.0mm(標準17.7mm)

ベルトを反対側へ折り曲げたりして「ひび割れ」や「変形」がないか確認していきます。大きく症状が見えたら交換しましょう。

次にノギスなどを使用し「ベルトの幅」を測定します。
説明書やサービスマニュアルを参照し、使用限度まで消耗していた交換しましょう。

ウエイトローラーの点検方法

ローラーの幅を計測する

  • 使用限度:17.4mm(標準18.0mm)

ウエイトローラー表面を確認し、大きくすり減っていたら交換です。

グリスアップのやり方

ウエイトローラー表面にリチウムグリスを薄く添付します。

スライドピースの点検方法

スライドピース点検

スライドピースの内側を確認し、大きくすり減っていたら交換です。
確認がしにくいと思いますので、わかりづらければ交換しておきましょう。

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クラッチシューの点検方法

クラッチシューの点検

  • 使用限度:2.5mm(標準4.0mm)

クラッチシュー外側の「ライニング(磨材)の厚み」をノギスで計測します。
説明書やサービスマニュアルを参照し、使用限度まで消耗していた交換しましょう。

グリスアップのやり方

クラッチシュー_グリスアップ

ポリウレア系グリスをクラッチシューの内部へ”たっぷり”と塗布します。(内側の段差を埋めるくらい)
ライニング部へ付着すると滑りの原因になるため拭き取りましょう。

Vベルトフィルターの点検方法

ベルトエレメント点検

全体を確認し汚れが酷かったり、一部が欠損していたりなど、劣化が確認できたら交換しておきましょう。

プーリーの点検方法

プーリー点検

プーリーの表面を指で撫でてみて大きな「段減り」や「凹凸」が確認できたら交換しましょう。

グリスアップのやり方

プーリー_グリスアップ

ローラーのあたる部分にリチウムグリスを薄く添付します。
またプーリー表面にグリスがつくと、ベルトが滑る原因となるため拭き取っておきましょう。

プーリーボス(プーリの中心にある筒状の部品)の表面も同様に油分は取り除いておきましょう。

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プーリーを組み付ける

プーリーの組み込み

プーリの中へグリスアップ済みのローラーを入れ、ランププレートにはスライドピースを差し込みましょう。

ローラーの向きに気をつけよう

ローラーの向き
ローラーの側面を見比べてみて、壁の面積に違いがあるものは「向き」がありますので気をつけましょう。

プーリー回転方向

面積の多い方が、プーリーが回転した時に壁にぶつかる方へくるようにしましょう。面積の多い方が、12時の方向のとき左側に来るようにし、同じ向きで他も入れていきます。

ドライブベルトの交換・落とし込み

ベルト落とし込み

ベルトを交換するときは、クラッチに落とし込んで取り付けします。これはプーリーの固定をベルトが邪魔しないようにするためです。

ベルトを落とし込む

クラッチシューを地面置き、ベルトをかけて下へと引き込みます。
画像のようになったら、元に戻らないようにタイラップなどで固定します。

ベルトの向きに気をつけよう

ベルトの向きに

ベルトの外側に矢印がある場合、「進行方向」を示しています。
反時計回りに回転するので、それに合わせて取り付けしましょう。

矢印がない場合は、手前にロゴが向くようにしましょう。

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組み付ける

駆動系組み付け

プーリー→プーリーボス→クラッチシュー(ベルト付き)→クラッチハウジング→プーリーフェイスの順番で取り付けを行いましょう。
この時、プーリーの中身が散らばりやすいので気をつけましょう。

規定トルクで締め込む

しっかり奥まで入っていることを確認し、トルクレンチ(合いマーク)を使用し規定トルクで締め込みましょう。

ベルトの位置を戻そう

ベルト位置戻し

最後にベルトにつけたタイラップを外し、手で少しベルトを回転させ、ベルトをクラッチの外周部分に戻してあげましょう。

その後エンジンを始動して、動作に問題がないか確認してみましょう。短期間であればこの状態でエンジンを始動させても大丈夫です。

最終確認

  • 付け忘れはありませんか?
  • 駆動系から異音はしませんか?
  • 回転数に応じて変速はしていますか?
  • 数メートルの試走をしてみましょう
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ベルトが切れるのはいつかわからない!定期的な交換を心がけよう

今回は駆動系の交換方法から、各種部品の役割や点検方法を紹介させていただきました。

走行中にベルトが切れてしまうと、他部品にもダメージを与えてしまい修理費用がかさんでしまいます。
正確な摩耗状況は中を確認してみないとわかりませんので、定期的な点検・交換を心がけましょう。

感想・質問などはTwitter(@kyosuke400)にて受け付けておりますので気楽に連絡ください♪

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