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【徹底解説】キャブレターオーバーホール・清掃のやり方。必要な道具、点検方法も全て網羅

難易度 作業時間 予算
上級 60分〜 10000円〜

中古車や放置車を手に入れたら確認すべきこと、それは「キャブレターの状態確認」です。

非常に複雑で、細かい部品でできているキャブレターは、劣化したガソリンや小さなサビで簡単に詰まってしまいます。
少しでも調子が悪いと感じたら、キャブレターの洗浄を試してみましょう。

この記事では、キャブレターの洗浄(オーバーホール)のやり方を徹底解説
気をつけるべきポイントや必要な道具も全て、この記事を見ればカンペキにできるはずです。

こんな方にオススメの記事

・キャブレターの清掃(オーバーホール)をしたい

・放置車をレストアしたい

・中古車を購入した

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目次

キャブレターとは?

キャブレターの仕組み

キャブレターは「燃料を供給するための装置」です。
オートバイの走行にはガソリンが必要不可欠ですが、そのガソリンをエンジン内に供給している部品がキャブレターです。

キャブレターは機械制御のアナログな方法で動作し、すでに生産は終了してしまっています。現在では電子制御のインジェクションが主流です。

キャブレターの基本構造

キャブレター基本構造

キャブレターの内部は複雑な構造をしており、混合気がどのように作られるのか簡単に説明します。

キャブレター最下部の「フロート室」には、ガソリンが溜められています。
中心を空気が通過するとガソリンが下から汲み上げられ、空気と混ざり「混合気」が作られます。そのまま直で繋がっているエンジンへ供給される仕組みになっています。

このようにキャブレターは電子制御を必要とせず、空気の力を動作元とした機械制御で動作しています。

インジェクションとは何が違うの?

始動性が悪くなる2

では、現在主流になっているインジェクションとは何が違うのか。それは「混合気をどのように作っているか

キャブレターには、メインジェットと呼ばれる”穴の空いたボルト”が使われています。供給するガソリンの量はこの穴の大きさで調整しており、空気の量が変わっても供給されるガソリンの量は変わりません。
そのため空気の密度が変わる冬場などでは、混合気の比率に狂いが生じ調子が悪くなってしまいます。

対するインジェクションは、ガソリンの供給量を電子制御でしており、外気温や空気の量に応じて適切な供給がされています。
なのでどんな条件下でも適切な混合気が作り出されているため、冬場などでも調子が悪くなりにくいのが特徴です。

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なぜ、キャブレターの清掃が必要か

なぜ清掃するのか

キャブレターに使用されている部品は非常に小さく、燃料が通るための穴が”1mm以下”ということもあります。
そのため劣化したガソリンや、タンクから一緒に流れてくるサビが原因で簡単に詰まってしまいます。

定期的に動いているエンジンであればガソリンの劣化は考えにくいですが、放置車を再起動するときは清掃が不可欠です。

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かかる費用はどれくらい?

部品代 工賃代 脱着代 総額
依頼(車体ごと) ¥11,495 ¥9,350 ¥1,650 ¥22,495
依頼(キャブのみ) ¥11,495 ¥9,350 ¥20,845
自身 ¥11,495 ¥11,495
[モデル:SR400(1997年式) 単気筒]

依頼した場合と、自身で作業する場合の見積もりを作ってみました。
見積もりは単気筒のSR400で出していますので、4連キャブなどの場合は「×4」の予算が必要になりますので気をつけましょう。
※SR400は「エアスクリューのOリング」と「バルブシートのOリング」が、ASSYでしか出ませんので部品代は高い傾向にあります。

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作業前に確認しておこう

まずは下記の内容を確認してから作業にとりかかりましょう。

必要なもの

キャブレター部品

必要部品

」がついている部品は、キャブレターを分解するなら交換しておいた方がいい部品です。
ゴムやガスケット類は再利用せず交換しましょう。

キャブレタークリーナー

劣化したガソリンは簡単には落とせません。専用の溶剤を使用し”溶かして落とす”必要があります。
こちらのクリーナーは「泡タイプ」で扱いやすくオススメです。

クリーニングツール

キャブレターの部品は非常に細かく、穴も小さいため専用の掃除道具があると便利です。

小さめのマイナスドライバー

スロージェットを外すときに高確率で必要です。
通常のマイナスドライバーでは幅が広く届きません。専用品が出ているので用意しておくと役立つはずです。

各部品の調整具合を確認しておく

パイロットスクリュー調整

キャブレターには、ネジの締め込み具合で調整をするための「パイロットスクリュー」と「エアスクリュー」があります。(搭載されているのはどちらか片方のみ)
元の調整量の確認を怠ると、戻した際に燃調が狂うことがありますので必ず確認しましょう。

確認方法

調整量の確認方法

締め込む方向(正回転)の限界まで回し、この時に”どのくらい回したか“を確認する方法が簡単です。

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キャブレターを分解する

キャブレター オーバーホール

まずはキャブレターを分解していきます。
キャブレターを取り外すまでの工程は車両により異なりますので、ここでは省略させていただきます。

フロート室を開ける

フロート室を開ける

ボルトを外し、フロート室を開けます。

フロート周りの部品を外す

フロート室内の部品

フロート室内の各部品の名称は上記の通りです。
部品別に外し方を解説しますので、まずは分解していきましょう。

フロート/フロートバルブの外し方

ピンで固定されている

フロートは、つけ根のピンを外します。

POINT!車両によっては圧入されていることがあります。そのときは「オートポンチ」を使用すれば楽に外せます。ただし、勢いよく吹っ飛んでいきますので紛失に注意しましょう。

フロートバルブ
フロートを外すと「フロートバルブ」が一緒にくっついてきます。こちらも非常に小さな部品のため紛失に気をつけましょう。

バルブシートの外し方

ビスを外す
まずはビスを外します。

バルブシートを抜く
バルブシートはOリングで挟まっているだけなので、前後左右に揺さぶりながら引っ張れば外せます。

メインジェット/スロージェットの外し方

マイナスドライバーで外す

マイナスドライバーで逆回転に回すと外れます。一般的なマイナスドライバーで外せない場合は、専用のドライバーが出ていますのでそちらで外しましょう。

POINT!ジェット類は真鍮(しんちゅう)素材でできており、柔らかく潰れやすいので慎重に作業しましょう。

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スロットルバルブ周りの部品を外す

上部の蓋を外す

ボルトを外し蓋を開けます。中にはスプリング(柔らかい)が使われているので、無くさないように気をつけましょう。

スロットルバルブを抜く

スロットルバルブを抜きます。

ジェットニードルを抜く

ジェットニードルも入っているだけなので抜きましょう。

パイロット/エアスクリューを外す

キャブに残る

上記の「取り外しの注意点」を確認してから取り外しましょう。
中には非常に小さな部品が使われており、キャブレター側に残りやすいので気をつけましょう。

ダイヤフラムカバーを外す(SR400のみ)

ダイヤフラムカバーを外す

ボルトを外しカバーを外します。
プラスチックでできており、劣化で非常に割れやすくなりますので気をつけましょう。今回はすでに割れてしまっているため新品に交換します。

Oリングは新品に交換する

蓋に使われているOリングは新品に交換します。

ダイヤフラムを外す

ダイヤフラムを外します。ゴムの部分は引っ張ないようにしましょう。

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キャブレターの清掃

キャブレターを洗浄する

次にキャブレターのボディ、外した部品を清掃していきます。

POINT!清掃には「キャブレタークリーナー」を使用します。ゴムやプラスチックの部品には使用できないので水洗いにしましょう。

漬け置きが効果的

漬け置きが効果的

「クリーニングツール」を使用し洗浄するのもいいですが、キャブレタークリーナーに漬け置きするのも効果的です。

つけ置きのやり方は非常に簡単です。
フロート室にメインジェットなどの細かい部品を入れて、キャブレタークリーナーを適量吹きかけ1時間ほど放置します。

放置したら、しっかりと水洗いをし水気を飛ばしましょう。

POINT!泡タイプのクリーナーは漬け置きには適していないので、キャブレターボディを丸ごと漬けたい場合は「原液タイプのキャブレタークリーナー」を使うといいでしょう。

クリーニングツールを使って清掃する

クリーニングツール

キャブレターのスキマや穴にキャブレタークリーナーを吹きかけ、クリーニングツールを使用し汚れを落とします。
洗浄が終わったら、しっかりと水洗いをし水気を飛ばしましょう。

POINT!汚れが頑固な場合は、漬け置き方法や柔らかいブラシで磨いてみましょう。

ゴムやプラスチックは水洗い

キャブレタークリーナーはゴムやプラスチックを傷めてしまいますので、水洗いにしましょう。

POINT!やも得なく使用する場合は直接吹きかけず、ウエスなどに付けてから使用しましょう。

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各種部品の点検

メイン/スロージェットの点検

ジェット点検

穴が詰まっていたり、変形していないか確認します。
穴は非常に小さく見づらいので、穴越しに蛍光灯などを見ると確認しやすいです。

フロートの点検

フロート点検

フロートは”浮き”の役割があります。水を張り浮かせてみて、正常に浮くか確認します。

フロートバルブの点検

フロートバルブ点検

先端の黒い部分が重要です。ここが凹んでいたり傷があると、隙間からガソリンが滲んできてしまい「オーバーフロー」が発生してしまいます。

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ダイヤフラムの点検

ダイヤフラム点検

圧力を利用し動作している部品ですので、亀裂や破れがないか確認します。
今回は亀裂がありますので交換します。

ニードルジェットの点検

ニードル点検

変形や凹凸がないか確認します。

パイロット/エアスクリューの点検

パイロットスクリュー点検

変形や凹凸がないか確認します。
スプリングは張力が弱まっていたら交換しましょう。

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キャブレターの組み立て

分解したときと逆手順で組み立てます。
ここでは組む時のポイントや注意点を解説します。

ゴム部品・ガスケットは新品に交換

ゴム部品は新品に交換

ゴム部品やガスケットは燃料漏れ防止のために使われています。必ず新品に交換しましょう。

ジェット類の締付トルクに注意

なめやすいので注意

ジェットなどの”真鍮素材”でできている部品は、頭をなめやすいので締め付けに気をつけましょう。

スロットルバルブを取り付けるときのポイント

スロットルバルブを持ち上げる

スロットルバルブを上に持ち上げた状態(アクセル全開の状態)で組みましょう。こうすることで、ダイヤフラムが正しい形となりスムーズに動いてくれます。

調整スクリューの戻しを忘れないように

パイロットスクリューの調整を忘れずに

意外と多いのがパイロット/エアスクリューの戻し忘れ。元の位置までしっかりと戻しましょう。

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まとめ

キャブレター オーバーホール

今回はキャブレターの清掃(オーバーホール)の紹介をしました。

最初は敷居が高く感じるとは思いますが、技術的な要素は少なく、慣れてくればそこまで難しいものではありません。
ですがキャブレターの数が増えるほど時間と手間もかかりますので、販売店に依頼することを検討してみても良いでしょう。

キャブレターの調子が悪くなるとエンジン動作に影響がでますので、定期的な点検を心がけましょう。
特に中古車や放置車を手に入にしたときは、状態を確認した方が”より良いバイクライフ“が送れることでしょう。

感想・質問などはTwitter(@kyosuke400)にて受け付けておりますので気楽に連絡ください♪

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